動画制作で補助金は活用できる?申請の流れと注意点まとめ

この記事の監修者

たにがわ せいま

谷川 誠真

年間1,133本のWEB CMや企業YouTubeを制作する映像制作会社、(株)ZiasPromotionの代表取締役。
技術会社である東京映像ビジネス動画制作センター(株)の代表も兼任。

フリーランスとしてWEBメディアのディレクションや登録者188万人のYouTubeチャンネルの編集ディレクターを経て、現在は映像制作会社と映像技術会社の2社を経営。

動画制作の重要性は近年ますます高まっており、商品紹介や採用、営業活動、研修の質を高める有効な投資としても注目されています。こうした流れのなかで、「動画制作に補助金を活用できないのか」とお考えの方もいるでしょう。

結論から言うと、動画制作に関連して補助金を活用することは可能ですが、目的に合った事業計画が必要です。正しく補助金申請を行うため、制度について理解しておきましょう。

本記事では、対象制度、申請手順、対象経費、注意点を初心者にもわかりやすく解説します。動画制作で補助金を活用したい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること
  • 動画制作で活用できる補助金
  • 補助金申請のポイントと失敗を防ぐコツ

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目次

動画制作で補助金は活用できる?

動画制作で補助金を使うには、販路開拓、新事業展開、業務効率化、デジタル化など、制度の目的に合った事業計画が必要です。

対象は中小企業、小規模事業者、個人事業主が中心ですが、制度によって業種、従業員数、事業内容、対象経費が異なります。まずは補助金と助成金の違いを理解し、自社の動画制作がどの制度に合うかを確認することが大切です。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金はどちらも返済不要の支援制度ですが、受給の仕組みが異なります。補助金は審査で採択される必要があり、販促動画やPR動画など事業成長に関わる制作で使われます

助成金は雇用や人材育成に関する要件を満たすと受給しやすく、動画制作スクールの受講費などで検討されます。

項目補助金助成金
主な特徴審査あり、予算上限あり要件を満たすことで受給可能
返還義務原則なし原則なし
主な目的販路開拓、新事業、設備投資を支援雇用維持、人材育成、労働環境改善を支援
動画制作での例商品紹介動画、企業PR動画、EC販促動画の制作動画編集スキル研修、社員教育の受講費に活用

動画制作が補助金対象となるケース

動画制作が補助金対象になるのは、売上拡大や生産性向上につながる事業として説明できる場合です。

例えば販促動画には小規模事業者持続化補助金、商品紹介動画や企業PR動画には新事業進出補助金、研修動画や動画編集環境の整備にはIT導入補助金が活用できる可能性があります。

高性能カメラや編集機材を導入して動画編集などの新サービスを始める場合、ものづくり補助金の対象になるケースもあります。制度ごとの目的と動画の役割を結び付けることが重要です。


動画制作におすすめの補助金制度4選

動画制作に活用しやすい補助金制度は、制作する動画の目的によって選び方が変わります。

ここからは動画制作におすすめの補助金を解説しますが、制度の内容や名称は変更される可能性があるため、申請前には、必ず各制度の公式サイトや最新の公募要領を確認しましょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自ら経営計画を策定し、販路開拓や生産性向上に取り組む際の経費を支援する制度です。

動画制作では、店舗やサービスの紹介動画、商品PR動画、施工事例動画、予約や問い合わせにつなげるWeb掲載用動画などで活用できる可能性があります。

通常枠は補助上限50万円、補助率2/3が基本で、対象となる小規模事業者は、商業・サービス業では常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業や製造業などでは20人以下が目安です。

申請では、「動画を作ること」自体を目的にするのではなく、誰に動画を届け、問い合わせ数、来店数、予約数、売上をどの程度増やすのかを数値で示すことが大切です。

経営計画と動画の活用方法が結び付いているほど、事業の必要性を伝えやすくなります。

事業再構築補助金(中小企業新事業進出補助金)

事業再構築補助金は、新分野展開や業態転換などを支援してきた補助金制度です。過去制度では、成長分野進出枠などで最大1億円規模の補助上限が設定された公募回もありました。

現在は後継的な制度として、中小企業新事業進出補助金が運用されています

中小企業新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業への進出を支援する制度です。公式資料では、補助率は1/2で、補助上限額は従業員数に応じて変わります。

大幅賃上げ特例を適用する場合、従業員101人以上では最大9,000万円まで上限が引き上げられる仕組みがあります。

動画制作で活用を検討できる例としては、オンライン講座事業を始めるための動画教材制作、観光事業者が海外向けに展開するPR動画、製造業が新製品を新市場へ販売するための商品紹介動画などがあります。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が自社の課題に合ったITツールを導入し、労働生産性の向上を図るための制度です。

通常枠では、導入するITツールのプロセス数などに応じて補助額が変わり、4プロセス以上の場合は150万円以上450万円以下となる場合があります。

動画制作に関連する場合、動画編集ソフト、配信管理ツール、顧客管理ツール、教育研修システム、マーケティング支援ツールなどが候補になります

ただし、IT導入補助金は単発の動画制作外注費を補助する制度ではなく、登録されたITツールの導入が前提です。

たとえば、社内で継続的に商品紹介動画や研修動画を制作するために編集環境を整える場合や、動画コンテンツを活用して顧客対応や営業活動を効率化する場合は、業務効率化や生産性向上との関連を説明しやすくなります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が生産性向上に資する革新的な新製品や新サービスの開発、海外需要開拓を目的とした設備投資やシステム導入を行う際に活用できる制度です。

製造業だけでなく、商業やサービス業など幅広い業種が対象になります。

補助上限は申請枠や従業員規模によって異なります。製品・サービス高付加価値化枠では、従業員数に応じて750万円から最大2,500万円、グローバル枠では最大3,000万円が目安です。

補助率は、中小企業が1/2、小規模事業者が2/3とされています。

動画制作分野では、映像制作会社が新しい撮影サービスを開始する場合や、教育事業者が動画教材制作体制を強化する場合、観光事業者が高品質な映像コンテンツを活用した新サービスを展開する場合などが考えられます。

ただし、単に機材を購入したいという理由だけでは採択は難しくなります。導入する設備によって、どのような新サービスを生み出し、どの程度の売上増加や生産性向上が見込めるのかを具体的に示すことが必要です。

補助金申請の具体的な流れとスケジュール

補助金申請は、思い立ってすぐに提出できるものではなく、事業計画の作成、見積書の取得、必要書類の準備、電子申請の登録を進める必要があります。ここからは補助金申請の流れとスケジュールについて解説します。

申請前の準備段階

申請準備は、締切の2〜3ヶ月前から始めると安心です。まず動画制作の目的を整理し、販路開拓、採用強化、研修効率化などの事業課題を明確にします

次に制作会社を選び、企画費、撮影費、編集費、ナレーション費などが分かる見積書を取得しましょう。社内では代表者、経理担当、現場担当が連携し、確定申告書、決算書、会社概要、事業計画の材料をそろえてください。

早めに商工会議所や専門家へ相談すると、書類の抜け漏れを防ぎやすくなります。

事業計画書の作成ポイント

事業計画書では、動画を作る理由と期待効果を数値で示すことが重要です。

「認知度を高めたい」だけでは弱いため、「動画公開後6ヶ月でWebサイト流入を30%増やす」「問い合わせ件数を月10件から15件へ増やす」「展示会後の商談化率を20%改善する」など、測定可能な目標にします

市場規模、競合状況、自社の強み、動画を使う配信先、投資回収の見込みを一貫して説明すると、審査員に事業性が伝わりやすくなります。

申請から採択までの期間と対応

申請後は、受付確認から審査、採択結果の公表まで2〜4ヶ月程度かかることがあります

審査中に事務局から問い合わせや追加資料の提出を求められる場合があるため、見積書、仕様書、会社資料はすぐ提出できる状態にしておきましょう。

不採択になった場合でも、審査項目に沿って事業計画を見直し、次回公募で再申請できることがあります。目的、収益性、実現可能性などを見直し、再申請に備えましょう。

補助金対象となる動画制作費用の範囲

補助金が活用できる場合でも、補助対象に対象になるかどうかは、制度の公募要領、費目区分、事業目的との関連性によって判断されます。ここからは、基本的な補助金の対象範囲について解説します。

対象となる費用項目

補助金の対象になりやすい費用には、企画構成費、撮影費、編集費、テロップ制作費、ナレーション費、音楽制作費、字幕制作費、サムネイル制作費などがあります。

制度によっては、カメラ、照明、マイク、編集用PC、動画編集ソフト、配信管理ツールなども対象になります。

ただし、小規模事業者持続化補助金では販路開拓に関わる外注費が中心となり、IT導入補助金では登録ITツールが前提になるなど、制度ごとに範囲が異なります。

制作会社への外注費

制作会社への外注費は、目的、仕様、納品物、金額が明確な見積書が必要です。企画、撮影、編集、修正回数、納品形式を分けて記載してもらうと、審査や精算がしやすくなるでしょう。

高額な案件では相見積もりを取り、価格の妥当性を説明できるようにします。

機材購入・レンタル費

カメラ、照明、マイク、編集PCなどは、事業計画との関連性が明確な場合に対象となる可能性があります。

レンタル費は事業実施期間内の利用分が基本ですが、購入機材は減価償却や資産管理が関係するため、中古品を含めて公募要領の条件を確認する必要があります。

対象外となりやすい費用

対象外になりやすい費用には、通常業務の人件費、交通費、接待交際費、目的が不明確な会議費、既に制作済みの動画の費用などがあります。

既存コンテンツの軽微な修正や、補助事業と関係の薄い広告運用費も認められにくい場合があります。

判断が難しい費用は、自己判断で発注せず、事前に事務局、商工会議所、認定支援機関へ確認することが安全です。

補助金申請で失敗しないための注意点

補助金は申請すれば必ず活用できるものではなく、申請がうまくいかないケースも少なくありません。ここからは、補助金申請をスムーズに進めるためのポイントを解説します。

事業計画書でのよくある失敗例

よくある失敗は、「動画で集客を強化する」といった曖昧な目標で終わることです。市場分析がなく、競合と比べた自社の強みも説明できていない計画は評価されにくくなります

また、制作費に対して売上増加の根拠が弱い場合も注意が必要です。ターゲット顧客、配信媒体、想定視聴数、問い合わせ率、成約率を具体化しましょう。競合動画との差別化や、公開後の営業活用方法まで示すと説得力が高まります。

採択率向上のコツ

採択率を高めるには、補助金の政策目的と自社計画を合わせることが重要です。

地域の観光資源をPRする動画、地域雇用につながる採用動画、DXを進める研修動画、新しい販売チャネルを作る商品紹介動画などは、地域性、社会性、革新性を示しやすくなります

目標は「売上20%増」「問い合わせ月15件」「研修時間30%削減」のように数値化します。商工会議所、中小企業診断士、認定支援機関を活用すると、審査目線で計画を磨きやすくなります。

実施後の報告義務と注意点

採択後は動画を制作して終わりではなく、事業完了後に、契約書、請求書、支払証憑、納品物、実施内容、効果測定結果をまとめて報告しなければいけません。

報告が遅れたり、経費の証拠書類が不足したりすると、補助金が支払われない可能性があります。申請内容と異なる発注や、事前承認のない仕様変更も問題になるでしょう。

虚偽申請や目的外使用があれば、補助金返還を求められる場合があります。

よくある質問

ここでは、初めて申請を検討する方がつまずきやすいポイントについて、Q&A形式で解説します。

フリーランスでも補助金は申請できますか?

フリーランスや個人事業主でも、制度の要件を満たせば補助金を申請できます。小規模事業者持続化補助金は個人事業主の利用例も多く、開業届、確定申告書、売上実績、事業内容を示す資料などが必要です。

青色申告は信頼性を示しやすい材料になりますが、制度によって必須条件は異なります。法人と比べると、事業実態や継続性の説明が重要です。

屋号、取引実績、Webサイト、過去の請求書などを整えておくと申請準備が進めやすくなります。

動画制作スクールの受講費用は補助対象になりますか?

動画制作スクールの受講費用は、販促動画などの制作費とは扱いが異なります。小規模事業者持続化補助金などでは、直接的な販路開拓費として認められにくい場合があります。

一方、社員の職業能力開発を目的とする人材開発支援助成金や、個人の学び直しを支援する教育訓練給付金の対象講座であれば、別制度で検討できる可能性があります。

動画を外注して販促に使うのか、社内人材のスキル習得を目的にするのかで、選ぶ制度を分けることが大切です。

既に制作済みの動画も補助対象になりますか?

補助金は、原則として交付決定後に契約、発注、制作、支払いを行う事業が対象です。そのため、既に制作済みの動画費用を後から補助対象にすることは基本的にできません

例外的に、継続的な動画制作事業の一部として追加制作を行う場合や、既存動画を活用して新たな販促施策を行う場合は、今後発生する費用が対象になる可能性があります。発注前に対象時期と経費条件を確認することが必要です。

まとめ

動画制作では、販路開拓、新事業展開、デジタル化、設備投資などの目的に合えば、補助金を活用できる可能性があります。

自社の目的に合う制度を選び、最新の公募要領を確認したうえで、商工会議所や専門家に相談しながら準備を進めましょう。

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